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地域を豊かにする働き方
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地域を豊かにする働き方
関満博 ちくまプリマー新書
目次 はじめに 第1章 震災で鮮明化した「地域」の大切さ
第2章 岩手県大槌町・津波災害と地域産業
1 大槌町の被災と地域産業 2 すべてを波にさらわれた跡地で 3 被災を免れたモノつくり中小企業 4 小さな港町の地域産業のあり方
第3章 福島県浪江町・原発災害と地域産業
1 浪江町の被災と避難状況 2 故郷を離れて 3 避難した人を支えるサービス業、小売業 4 すべてを失い、避難地で再開する製造業 5 中小企業は地域の「力ある市民」
第4章 茨城県日立地区・地震災害と地域産業
1 日立周辺の被災と復旧の状況 2 ひたち立志塾とネットワーク 3 驚異的なスピードで回復した製造業 4 「近くの異業種、遠くの同業種」
第5章 地域産業と私たちのこれから
あとがき
著者は1948年生まれの地域経済論の専門家(名誉教授)です。しかも現場に身を置いて活動しています。2011年の3月11日には、岩手県の釜石市で講演会を前にして被災されたとのことです。
著者の考え方は、戦後50年続いた経済の高度成長による「大量生産」「大量販売」「大量消費」「大量廃棄」の時代が終了して人口減、高齢化、小資源、省エネを基準にしてこれからの時代をどう生きていくのかと云うことです。その中で地域の活性化のヒントをこの本は示していると思います。
これを著者は「身の回りを豊かにしていくこと」だと考えています。「人の姿の見える地域を豊かにしていく」ためには、人々が生きがいを抱いて仕事のできる環境の形成、人々に役立つ仕事の創造、そして、限りある資源を有効に活用して循環型の持続できる地域社会を形成していくこと。(7ページ)だと書かれています。
3つの地域が取り上げられていますが、どれも地域の特性を生かした考え方で仕事を創造しています。私は、その中でも岩手県奥州市の「千田精密工業」社長である千田伏二夫氏の「我々の会社は日本人のためにやっている会社」だという言葉が頭に残っています。
今私が籍を置いている木材業界も取扱商品は大半は輸入品です。売り上げの6割を占める建材類も日本で作っているものでは価格競争に勝てないので工場を海外に移転しました。しかしそうではなくて、自分の国や地域で作っているあるいは作ったものを堂々と売れる体質を作りあげたいものです。

2012/12/30(日)
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