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LICCのメールで山田事務所の山田稔先生から平成元年と平成16年での東京都における利用関係別住宅着工戸数の資料をいただきました。
「平成16年度の利用関係別住宅着工戸数は総数38,507戸に対して持ち家11,888戸、30.9%、貸家7,337戸、19.1%、分譲住宅19,238戸、50.0%である。また、平成元年度着工戸数に対して持ち家は22.6%減少、貸家は73.7%減少、分譲住宅は249.9%増加である。この利用関係別着工割合が木材・建材流通を変革させている。 持ち家、貸家を受注する工務店を顧客とした伝統的な木材・建材流通は縮小し、新しい分譲住宅の需要に対応した木材・建材流通を必要としている。」
そのまま引用させていただきました。
我が社を例にとってみても当てはまる事がいくつかあります。先ず売上げです。ここ十数年で半分になりました。その減った分は木材の売上げです。構造材、造作材を中心としたそれです。プレカットが主流となり、建材メーカーの作成した枠材を住宅に用いるようになったからです。前者では大工が材木屋の下小屋で刻むという事が無くなりましたし、後者では大工が材木屋の下小屋で削るということがなくなりました。
この流れに乗った方は、売上げを倍増したと思います。もちろん厳しい競争に勝利した方だけですが・・
次に、支えてくれた方々=大工さんの動向はどうなったのでしょうか。大手の下請けになった方も居られますが、我が社の場合、多くは町場に留まり、リフォームを中心とした仕事を引き受けてきました。当時還暦大工という言葉がありましたが、今では古稀大工となり、年齢層がそのまま上がってきています。これを材木屋さんの立場から見るとリフォームが中心ですから材木の売上げは伸びません。建具や水周り商品まで引き受けないと売上げを維持する事が出来なくなりました。
また、お施主さんから見た場合、大工さんよりもネームバリューのある会社を選び、住まいを建てています。大工だけでは設計から施工・保証といった総合力が足りないと判断されているからでしょう。土地から手当てする場合も不動産屋や分譲業者にお任せの方が手っ取り早い、手が掛からないということも見逃せません。
従来住まいを建てる方は、作る楽しみや見識をお持ちでしたが、誰でも住まいを建てる時代に入り、住まいの役割よりも見てくれや機能性が重視されていると思います。それをあおるような建材メーカーの宣伝も数多くあり、確かに「欲しい」と思わせるだけの魅力を持っている事も事実です。やはりここは住まいの持つ意味から、木材の持つ役割からはじめないといけないように思います。基本に立ち返ることしかないように思うこの頃です。
ともあれ材木屋から社員がいなくなりました。 材木屋の友人で社員のいるところは先ずプレカット工場を持っている所です。ここはこの十年で社員数が倍以上になっています。次に外国に工場を持っている所です。そして大工工務店をリードしながら建築工事業へ足を踏み出した所です。あるいは不動産業を併設しているところです。設計事務所を兼ねている所にも社員はいます。
我が社には実質的な社員はいません。この体制になって10年経ちます。よく10年持ちこたえたな、というのが実感です。朝5時から配達して、音を立てないように材料を降ろしたり、お昼の時間帯を活用して引き取りに行ったりしました。現場への材料の直送を多用して自分が行かなくて済む態勢も作りました。それでも需要がありました。 ここ半年でそのやり方も限界に来て、次の手を打つ必要に迫られています。十数年間を数字で表すとわかりやすいですね。
2005/06/08(水)
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