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今の建築
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今の建築
建坪40坪ほどの木造2階建て住宅があります。築年数は約30年。これを1Fはアパート3部屋に、2階を住まいに改造したいという見積もりが入りました。今、設計士の方の書かれた図面を見ながら木拾いをしています。間取りの変更があるので1階に12本ほど、2階も20本ほど柱を追加する反面、抜く柱もあります。そのため梁を補強したり、架け直さなければなりません。その位置や大きさは描かれていないので、こちらで勝手にある程度現状を想像して、間取りを変更した際に補強すべき大きさをはじき出しています。 又、2階の小屋裏をロフトとして使いたいという事ですので根太材や床板も拾っています。二階の面積が19.5坪ほどですが、ロフトの部分の大きさは約13坪ほど描かれています。少し大きすぎます。屋根を片流れにすれば、問題は解決しそうですが、屋根までいじりたくないとのこと。そうなるとロフトの部分は小さくなると話しました。小屋梁も丸太を使っていると思うので、それを架け替えないとワンフロアーで使えないだろうという事も伝えておきました。 そういえば、丸太やタイコ梁を使う事が減りました。私は多分、ここ十年間で2本くらいしか売っていないと思います。三階建てやロフトを作ったりすると横架材に丸太を使う事が無いからです。曲がった木はムクリを上にして横に使えば上からの力に対して強いので屋根瓦が重くてもその重さに耐えます。曲がった木でも使い道を持っていたのが「木造軸組み工法」でした。柱に使うとしても力の掛からないところに曲がった柱を用いたり、短く使うなど工夫して使いました。横に使う場合もそうでした。 しかし今の建築では、基本的につかえるのは直材だけです。窓周りに曲がった柱を使えばサッシは動かなくなりますし、ドア周りに使うとドアが開かなくなる可能性があります。実際、柱が曲がってしまって取り替えた事は何度かあります。杉でも桧でもそうなります。その恐れを軽減するためにはKD材を用いるか集成材を使うかです。ここ数年では危険を避けるために集成柱を使う事が増えています。 造作材も同様です。一番多いのが床材と同じメーカーの部材を窓周りやドア材に使う事です。次が集成材を割いて使い、栂材やスプルスのムク材を使う事は減りました。もっともラワン材はもっと減りましたが。(二十年前はラワンばかりでした。) 今のユーザーは木を見る事も使う事もなくなったのだと思います。材木屋や大工がサボったのでしょうね。大工さんも木材を使う事よりも「クレームの来ない住まいつくり」を中心にしなければ生きてゆけないのだと思います。 それでもユーザーは木にあこがれます。木のよさを感覚的に知っています。そこを攻めるしかないのだと感じています。
さて仕事は決まるでしょうか。
2004/06/28(月)
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