15、今月の市場(2003年10月)
先日40代の工務店の専務から、大工を総入れ替えしたいとの相談を受けた。大工の年齢が60代に差し掛かり、お客さんの受けも悪いので、この際違う人を、というのだ。
といわれても30代以下の大工さんは3人しかいないのだし、それぞれ仕事を取ってきては私の会社を支えてくれているのが現状で、敢えてその会社に紹介しても自分の所にどれだけ見返りがあるのかわからない。仕事が切れたら声をかけてみるよ、とその場を凌いだ。
大工の高齢化がいわれて久しい。腕も人柄も信用できる大工さんの数は減り続けている。一軒の材木屋が木材業から撤退して、そこに出入りしていた大工が隣の材木店に移ったとしても、その店が潤えるだけの要素はなくなった。また木材だけでは金額が伸びない。見積をしていても住宅にしめる木材費の割合は減っている。プレカットで大壁の家を建てて、下地材を納めても大した金額にならない。サッシに始まり、サイディング材工、床暖房、ユニットバス工事、キッチンに洗面化粧台と追いかけていけば、金額が伸びる。さらに一歩進めると住宅そのものを手がける事になる。
この路線を進めて会社の業績を伸ばした人にKさんがいる。十年来の友人である彼がこのたび会社の代表になった。私のような社員もいないような社長ではなく、数多くの社員を抱える社長である。しかも二世ではない。
住宅を材木屋側から取り組んで、工務店をリードした彼から学ぶ所は大きい。
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