10、委員の所見(2002年12月)
この一年で国産材をどれくらい売ったのだろうか。土台は栂の注入材、梁は米松などと考えていくと柱や間柱に杉材を使ったくらいかと思う。最近になって内装材に杉の羽目板を使い始めたが、全体の量としてはまだ少ない。使いたいという施主が出てきたのと使った工務店さんに喜ばれたのがせめてもの救いである。
さて、国産木材を売りたいと思っているし、東京木材ネットワークが作成したCD「杉の木太郎の一生」などを目にするとその気持ちは一層募る。が、現実に売れていくのは栂のKD材か集成材が増えている。仕事自体がより簡単な方法を選んでいくからである。いま現実に進行している仕事でも柱は桧のKDと書いてあるが、これを使うと金額的にあわない。かといってWWの集成材は使いたくない、杉では力が足りない。さてどうするか。折衷しようか。
仕事の量も減り、単価も厳しくなり業界全体が縮こまっている。材木屋から社員がいなくなり、大工が減ってひとりで営業しているところも多くなったと思う。組合もいままで以上に組織をスリムにして木材業の方向性を打ち出さないとジリ貧が増すばかりである。
ところで先日、階段の出来る大工を頼まれたのだが、手当てすることが出来なかった。急ぎということもあったが、仕事の出来る人が遊んでいるわけもなく、今回は勘弁してもらった。技術も確実に落ちている。となると大工も登録制にして「貸したり、借りたり」していかないと仕事を見つけても仕事が取れないということになる。技術を持たない材木屋は技術者と協同しなくては何も出来ないのだろう。
だから新しい年に期待しよう。成功体験を積んだ材木屋が「WOODS」にその手記を寄稿でして一つのモデルとなるように・・・
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