2、50歳を過ぎた住まい
これはかなり個人的なことを書くようになるのだと思っている。というのも人が年を取るということは、個人差が激しく、年をとればとるほどそれまでの人生と無関係に生活を語ることが出来ないし、それまで、布団で寝ているのがいいのか。
去る12月9日から16日まで、則子のお母さんが我が家に滞在していた。6月、9月に続いて今年三度目。昨年末に脳梗塞で倒れて、半年ほど病院のお世話になっていたが、今ではデイサービスに通うまでに回復し、今回もお正月を前にして遊びに来てくれた。お母さんは多少足腰が弱っているので、不安は階段とベッドとトイレである。
さて、我が家は三階建ての建物の3階にある。エレベーターはないので、階段を二回分あがることになる。二階までの階段には手すりがなく、二階から三階までの所には手すりが設置されている。手すりのない部分では、あがるときにはお尻を押し上げ、降りるときには、手をもってここをクリアーする。手すりのある個所では、手すりにつかまれば自力で歩けるし、降りるときには、お尻をつけて下がるという方法もある。
次にベッドである。当然の事ながら住まいで使っているものとは違う。自宅では起き上がり易いように柵や手摺がついているベッドを使用している。私のところのものは、木製の簡易ベッドなので、そのようなものはない。そこで、藤で出来た家具に目方のあるものを入れ動かないようにし、ベッドの横に置いた。上部の柵が握り棒の役目を果たし、これにより一人で寝起き出来る事が可能になった。
そしてトイレである。寒くなると夜中にトイレに起きた経験はないだろうか。私も最近、明け方にトイレに起きる時がある。その際ベッドとトイレまでの距離は近いほうが良い。ところが私のところはかなり距離があるので、昼はトイレを使い、夜には簡易トイレを使用してもらうことにした。それらによって私のところでの生活は無事営まれた。
親が来て見て感じることではあるが、50歳を過ぎた住まいつくりには、いくつかのポイントがあるように思えてくる。朝起きてトイレ、洗面、食事、くつろぎの場所。昼寝。移動、入浴、就寝。外出、散歩など一日の生活を頭に描きながら、住む人に必要なものを考えていこう。
例えば、布団よりもベッドでの生活。ベッドとトイレは近くに。段差のない床。手摺の設置。食事はテーブルで。洗面所や玄関には椅子など座れる場所を。等々。
垂直移動から水平移動の重視である。だとすると木造の三階建てなどは良いものとはいえない。親の家を兄弟で相続して、1階を姉夫婦。2階を弟夫婦と階で分けた家があったが、これなどもより良く住み続けることを考え合わせた場合、卓見かも知れない。
ともあれ、1階の床面積が60平米くらいはないとこれらの条件は満たせないのではないかとは思う。 |