近所の商店街ではシャッターが下ろされ、テナント募集の看板が目立つようになりました。古い木造のアパートや中古マンションも家賃を下げて入居者募集をしています。かたや新築のマンション建築建設は衰えを知りません。そんなに作ると供給過剰になると思いますが、近所の空き地や駐車場はボーリングを始めています。
そんな中、値上げの季節がやってきました。木材、合板、石膏ボード、断熱材など普段売れている製品が一挙に値上げです。お客さんには7月にはいると何もかも値上げだと思っていて下さい、見積もりも今ならいくらだけど夏の仕事は一割アップですよと話しています。どれくらい言い値が通るでしょうか。
さて、仕事の方はというと前もって予定できる仕事が少なくなり、その日暮らしになりつつあります。まとまった見積もりは流れることが多く、来る仕事は車をとめて置けない交差点の角のビルの5階だとか、エレベーターから一番遠い部屋など、なかなか厳しいものがあります。
そんな中、今月の「WOODS」には、三國屋製材所の社長である渡辺哲行さんのお話が載っていました。先々月の月報委員会で行われた講演の中味が載っていますので、少し紹介してみたいと思います。
「勉強会とわたし」
本日は私が立ち上げてきた勉強会を中心にお話をしたい。
現在52歳になりますが、自店に入ったのが30歳の時で22年になります。
材木屋として何ができるか、ということを考えた時、大工さんから室内の仕様決めが苦手だという話を聞き、床、壁、天井の色彩仕様の交通整理ができるインテリヤコーディネーターの活用を提案しました。
次に工務店さんと共に仕事をしていこうと考えはじめた時、「高断熱・高気密の計画換気の家」に出会い、その良さを体験した。(11月の東北の夜でも毛布一枚で寝ることが出来た)
惚れ込める工法にめぐり合えたということは、工務店さんと共にやっていける住宅がそこにあるということ。技術的に真似の出来ない住宅が工務店の手元にあれば、どんな施主が着ても勝負できるということ。価格競争するだけの住宅つくりから距離をおけるようになった。
平成7年から「世田谷の住まいを考える会」として勉強会を始めました。この勉強会を存続させる一番の源になったのが。三菱商事の「やすらぎ21」(現在は消滅)の応援でした。積極的に力を貸してくれたので勉強会は存続しています。
「高断熱・高気密の住宅」の工法は獲得したものの住む人の考え方、生き方、住まい方を理解していないことに気付きました。我々は売る側ですので出来るなら利潤の上がるものを売りたい、杉より桧、さらにムクのものをと。そうすると住まう人の気持ちが置き去りになる。最近は住まう人の立場にたつということを一番大切にしています。
現在、勉強会は工務店の情報収集の場として活用されています。新しい工法の話、工務店の悩みなど、一方通行でなしにキャッチボールの勉強会へと変化しています。良い悪いは別としてわたしは「商品に必ず情報を付けて売る」それがこれから大事だと思います。「ちょっと値段は高いかもしれないが、あそこで買えば色々な情報が得られていいな」と思われれば、しめたものです。
この先住宅の着工戸数は減りますが、リフォームは物凄い勢いで伸びていき、建設業界の仕事は減らないので、色々なものを追いかければ食べていける感じがしています。
何にせよ、叩くのは大工さんです。その大工さんを束ねて一緒にやっていこうという囲い込み、協働意識がないと大工は逃げていくのではないでしょうか。
私が目指していこうとしているのは「工務店さんと共に元気になって流通として頑張っていこうという材木屋です」
渡辺さんとは幾度か面識があります。渡辺さんの勉強会に一度参加させていただいたこともあります。先日の話は仕事の都合で聞く事が出来ませんでしたが、「WOODS」上で話された事を目にしました。肉声できくともっと迫力があると思いますが、以前から耳にしていた「大手と競争しない道を探れ」「一人前の大工の貸し借りしよう」などを思い出しながら読ませてもらいました。
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