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去る4月19日には「モック」の公開セミナーが新東京木材会館会議室で開かれました。今回は大田区で寿々木塗装店を経営する一方で、エコロジー・美塗装コンサルタント「アトリエ・ベル」を設立し、健康住宅のための自然塗料を普及することに努めておられる鈴木光明氏を講師にお招きして「塗料全般のことから天然素材で作られた自然塗料について」講演していただきました。
今回のセミナーは「自然塗料」の話ということもあって、組合員だけでなく、工務店や設計士の皆様にも参加を呼びかけ、多くの(30名)参加者が得られたことを初めに記します。
さて当日は、木村恵一理事長、横田幸雄モック会長の挨拶に続き、鈴木さんにお話していただきました。まず、塗装とは何かという以前にエコロジーという考え方が大切だと話されました。自然の生態系を崩さないで物質の循環を行うというこの考え方を頭の中に入れて置いてくださいということでした。
次に塗装とは何か。塗料とは何か。塗料はどうして乾くのか?そして何が入っているのか?従来の塗料とエコロジー塗料との違いは何か。エコロジー塗装と従来の塗装の比較などを沢山の塗装見本、豊富な塗料サンプルを使いながら話されました。そのような中で、誰でも出来るエコロジー塗装法として「セラック仕上げ」と「ファスングオイル+蜜蝋ワックス仕上げ」及び「たんぽ」の作り方を教えていただき、有意義な一日を送りました。
これらの話の中では自然塗料といえども人間に有害なものはあり、まして現代の塗料は樹脂、顔料、溶剤、添加材、どれをとっても無害なものはあまりありません。そこで、よりエコロジーに近い塗料の開発、推進は大事なことになります。その一方で、なぜ塗装しなくてはならないのか、塗装しないようなも
のは作れないのか、どうしても塗料を塗らなければならない所と、塗らなくてもよい所を区別して少しでも塗料を減らすことも一考であると話されました
現在、住宅における室内汚染が問題になり、化学物質過敏症になる人が増えてきている今、エコロジーという考え方を基本に置いて健康住宅を作り出していこうとすると、ここではユーザーの役割が大きくなります。自分や家族の環境は自分達で作っていく、そういう姿勢や実践が大切になります。たとえば、床板が傷つけば、それを補修する。それも自分で。今回「たんぽ」の作り方を教えてもらいました。「タオルで芯を作る、それにラップを巻く、その上にタオルを被せて元を縛れば、たんぽが出来ます。その先に塗料を染み込ませれば」刷毛などがなくても、立派な塗装用具です。自分でメンテナンスすることが大事です。そういうユーザーを補完するものとして、われわれがいます。そして私達は私達にしか出来ない仕事をしなければなりません。
これは後日談ですが、わからないことがあって鈴木さんへお聞きしたときに、「今のユーザーは木の文化がわからなくなった」「木の文化を教えることが材木屋さんの役割だよ」「塗料にしても元をただせば木と関係が深い」「ヤニと植物油からできているのだから、何も同じようなものを上から塗る必要はないと思う」「汚れたら拭く、それでもだめならば塗装すればよい」「今のエンビの家は飽きがくる。ほっとする家、ホットな家を作ることが大事じゃないか」といわれてしまいました。
また今回の話の中でも、五種類の塗料を持参してユーザーの体質に一番適したものを塗るという話してをしていただきました。人の顔が一人一人違うように、人によってアレルギーも違っているのでその人に匂いをかいでもらってその人に合う塗料を見つけて確かめてから使うという気遣いを示しています。そういう引き出しをたくさん持つことを私達も見習わなければなりません。
さらに実技で「ファスングオイルを使ったのは、あの時間の中で二回塗りを行いたかったからで、自然塗料としてはドイツのアウロ社やリボス社のものはよりエコロジー製品です。塗装するのに少し時間がかかりますが。それなら、定価より安く販売してくれる」というおまけもありました。
以上、今回の全体的な報告という意味では力不足ですが、このセミナーが外に開かれた一つの集まりとして、工務店さんや設計士の方に「市場」を見ていただいたこと、若い組合員の方々の参加をいただいたことの二つを大きな成果として、次に進んでいきたいと思います。
この項を書くに当たってインターネット上で「塗料+健康住宅」と入力し検索してみた所、「アウロやリボス」といった自然塗料の会社のホームページや健康住宅研究会なるものが建設省の肝いりで発足したことが書かれてありました。健康住宅への関心は高まっています。今私たち木材業者は自然と人間にやさしい住宅を作り出すために「売るべきものは何かを明らかにし」あるいはその根底にある「日本人が培ってきた木の文化について」再認識しなくてはならないと思っています。(1996/5/13)
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